「運命学」のことを、一般には「占い」、「易」、「四柱推命」など色々な呼び方はありますが、これらの名称はあまり適切ではありません。「運命学」発祥の中国では、これを「五術(ごじゅつ)」と呼びます。「五術」とはそのまま「五つの術」という意味です。なぜ「運命学」がそう呼ばれるのかというと、「人間の運命のすべてを良くするためには、五つの技・方術が必要」と考えられたためです。五つの方術は「命(めい)」「卜(ぼく)」「相(そう)」「医(い)」「山(ざん)」を言い、これを総称して中国では「運命学」とされています。一方日本では、このうちの「命・卜・相」の三術だけが「運命学」として取り扱われ、「医」は「医学」、「山」は「仙道・宗教・武道」に振り分けられました。

 「医」と「山」はここでは対象外ですが、使用する三術の概要は以下の通りです。

◎命(めい)⇒人間に主眼を置き人を理解する術法です。運命を良くするために生年月日時から生まれもった性格・体質だけでなくその才能の適正や運命を知ります。生まれ持った運を先天運と呼びます。

◎卜(ぼく)⇒事柄に主眼を置いた術法です。事態の予測と処置を占います。生年月日から測定されない事柄について「事の発生した時間」又は「自己が占う時間」により事の成り行きを予測し対処法を考えます。

◎相(そう)⇒目に見える物体の観察に主眼を置いた術法です。「印相(印鑑)・名相(名前)・人相(顔と手)・家相(家)・墓相(墓)」の五種類に分けられ、それぞれの時間や作用範囲が区別されます。※ここでは印相・名相は扱っていません。

1.四柱推命(しちゅうすいめい)(分類:命の占術)

 四柱推命は東洋占術の王様と呼ばれる占術です。万年暦(まんねんれき:占学専門家が使う暦)の生年月日時から算出します。生まれ持った人生の大きな流れ(行運)の吉凶を見るのに優れています。四柱推命は色々な流派がありますが、ここでは中国の一流派:透派(とおるは)の子平推命(しへいすいめい)で鑑定します。四柱推命の源流に近い十干十二支から直接判断するため、より詳細なタイミングを追うことができます。一番目の画像は万年暦のサンプルですが、多様な情報が掲載されており占術家にはなくてはならないものです。二番目の画像は四柱推命(子平推命)のサンプルです。

2.紫微斗数(しびとすう)(分類:命の占術)

 四柱推命と同様に生まれ持った人生の具体的な事象(性格・環境・家族・地位など)を見るのに優れています。万年暦の生年月日時から算出します。四柱推命と併用するといつ何がという具体的な事象を占う事ができ精度が上がります。

3.奇門遁甲(きもんとんこう)(分類:相・命・卜の占術)

 奇門遁甲はどう勝利するかを計る軍学から生まれた開運術です。具体的な行動を起こす時間と方角から吉凶を占います。よって旅行や出張、住居の移動などで使う事ができます。また家相や人生を観る命の占術でも使用することが出来ます。万年暦から年月日時を調べ、必要に応じてその場所の方位を地図や羅盤(らばん:方位磁石)を使って実測してから、遁甲盤を作盤し吉凶を占います。下図は順に相・命・卜で観た場合のサンプルです。

      

以下は羅計盤(三元羅計盤)です。遁甲・六壬・風水で家相を実測する場合に使用します。

4.六壬神課(りくじんじんげ)(分類:卜・相・命の占術)

  六壬神課も軍学から出た占術で事件性を計ります。日本では平安時代より陰陽師がよく使いました。この占術は相手との関係を重視するため問題の背景などが分かります。また家相や人生を観る推命でも使用することが出来ます。万年暦を使用して六壬盤を作盤しそこから判断します。下図は順に卜・相・命で観た場合のサンプルです。

金面玉掌(きんめんぎょくしょう)は、六壬神課と奇門遁甲を組み合わせた東洋の人相・手相術です。
遁甲人相手相術とも呼ばれます。日本の一般的な手相術は西洋と東洋を合わせたものですので、日本では珍しいかもしれません。

 5. 九星気学(きゅうせいきがく)(分類:相・命の占術)

 奇門遁甲から九宮だけを取り出し、江戸時代からある気学と合わせて九星気学として明治期日本で始まった日本独自の占術です。歴史は短いですが理解しやすく、日本人又は日本在住の人には有効な占術です。奇門遁甲よりも簡易的な方位診断が出来るため、日本では旅行・引越し時に広く使われています。性格判断や短期的な運勢の吉凶を短時間で判断することもできます。

 

6.風水(ふうすい)(分類:相の占術)

 日本では風水というと玄関のラッキーカラーなど室内装飾に重きを置かれますが、中国風水では屋外環境が重視されます。ここで取り扱う風水は、周辺環境からその家相の吉凶を判断します。流派は三元派主体で判断します。現在の地図だけでなく、場合によっては古地図も利用します。必要に応じてその場所の方位を地図や羅盤(らばん:方位磁石)を使って実測し吉凶を占います。

7.五行易(ごぎょうえき)(分類:卜の占術)

  五行易(断易とも言います)は物事の吉凶や時期をはっきり出したい時に使う卜(ぼく)の占術になります。中国で主体の易占はこの五行易です。易を立てる道具は以下写真のように色々ありますが、五行易はサイコロや銭(コイン、硬貨)を使います。

8.オリジナル易占(分類:卜の占術)

 師匠から伝授された碁石を使ったオリジナル易占(中央の黒い石)です。碁石に易の爻と陰陽を色分けして彫り込んでいます。周易に近いのですが時代に沿った師匠の独自解釈が適している時が多いです。瞬時に結果がでるため時間が無い時や、複数選択肢の吉凶をしらみ潰しに鑑定する時に使用することが出来ます。